は私の持論たる「最終戰論」の影響を受けていたことが誤解の原因と想像されるが、「最終戰論」は、これを虚心に見るならば、斷じて侵略主義的、帝國主義的見解にあらず、最高の道義にもとづく眞の平和的理想を内包していることが解るであろう。東亞連盟運動は、世界のあらゆる民族の間に正しき協和を樹立するため、その基礎的團結として、まづ地域的に近接し且つ比較的共通せる文化内容をもつ東亞諸民族相携えて民族平等なる平和世界を建設せんと努力したるもの、支那事変や大東亞戰爭には全力をあげて反對したのである。
東亞連盟の主張は、經濟建設の面においても一の新方式を提示した。今日世界の經濟方式は、アメリカ式かソ連式かの二つしかない。しかしこれらは共に僅かな人口で、廣大な土地と豊富な資源のあるところでやつて行く方式である。日本は土地狹く資源も貧弱である。しかも人口は多く、古來密集生活を營んで來た文化的性格から部落中心に團結する傾向が強い。こんなところでは、その特殊性を生かした獨自の方式を採用せねばならぬ。アメリカ式やソ連式では、よしトルーマン大統領やスターリン首相がみづから最高のスタツフを率いてその衝に當つても、建設は
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