りしマルクス流である。理論や機構が第一の問題とせられる。いたずらにそれらに遠慮してしかも気合のかからぬ根本原因をなしている。
どんな事があっても必ず達成しなければならぬ生産目標を明示し、各部門毎に最適任者を発見し、全責任を負わしめて全関係者を精神的に動員して生産増加を強行する。政府は各部門等の関係を勇敢親切に律して行く。そうすれば全日本は火の玉の如く動き出すであろう。資本主義か国家社会主義か、そんな事は知らない。どうでも宜しい、無理に資本主義の打倒を策せずとも、資本主義がこの大生産に堪え得なければ自然に倒れるであろう。時代の要求に合する方式が必ず生まれて来る。昭和維新のため、革新のための昭和維新ではない。最終戦争に必勝の態勢を整うるための昭和維新である。必勝せんとする国民、東亜諸民族の念力が自然裡に昭和維新を実行するのである。
この意気、この熱意、この建設は自然に世界無比の決戦兵器をも生み出す。即ち今日持久戦争に対する国防の確立が自然に将来戦争に対する準備となるのである。
第三節 満州国の責務
ソ連が東亜連盟を侵す径路は三つある。第一は満州国であり、第二は外蒙方面より蒙疆地方への侵入、第三は新疆方面である。その中で東亜連盟のため最も弱点をなすものは第三であり、最も重要なるものは第一である。満州国の喪失は東亜連盟のためほとんど致命的と言える。日華両国を分断しかつ両国の中心に迫る事となる。満州国は東亜連盟対ソ国防の根拠地である。東亜連盟が直接新疆を防衛する事は至難であるが、満州国のソ領沿海州に対する有利な位置は在満州国の兵備が充実しておれば間接に新疆方面をも防衛することとなる。
この大切な満州国の国防は、日満議定書に依り日満両国軍隊共同これに当るのである。
満州軍の建設には人知れざる甚大な努力が払われた。これに従軍した人々の功績は満州建国史上に特筆せらるべきものである。しかるに満州軍に対する不信は今日なお時に耳にするところである。たしかに満州軍は今日も背反者をすら出す事がある。しかし深くその原因を探求すべきである。満州軍の不安は実に満州国の不安を示しているのである。満州国内に於て民族協和の実が漸次現われ、民心比較的安定した支那事変勃発頃の満州軍は、恐らく最良の状態にあったものと思う。その後事変の進むに従い漢民族の心は安定を欠き、一方大量の日系官吏の進出と経済統制による日本人の専断が、民族協和を困惑する形となり、統制経済による不安と相俟って民心が逐次不安となって来た。この影響はただちに治安の上に現われ、満州軍の心理をも左右するのである。満州軍は要は満州国の鏡とも見る事が出来る。
支那事変に於ける漢民族の勇敢さを見ても、満州国が真にその建国精神を守り、正しく発展するならば満州軍は最も有力なる我らの友軍である。若し満州軍に不信ならば満州国人の心理に深く注意すべく、自ら満州国の民心を把握していない事を覚らねばならぬ。
満州国の民心安定を欠く時は共産党の工作が進展して来る。非常に注意せねばならない。これがため共産党の取締はもちろん大切であるが、更に大切なのは民心の安定である。元来漢民族は共産主義に対し、日本人のように尖鋭な対抗意識を持たない。防共ということはどうもピンと来ぬらしい。彼らは共産主義は恐れていない。故に防共の第一義は民心を安定し、安居楽業を与える事である。多くの漢人に対し共産主義の害毒を日本人に対するように宣伝をしてもどうも余り響かないらしい。共産主義が西洋覇道の最先端にある事を明らかにし、国内で真に王道を行なえば共産軍は大して心配の必要なく、民心真に安定すればスパイの防止も自然に出来る。民心が離れているのに日系警官や憲兵でスパイや謀略を防がんとしても至難である。
満州国防衛の第一主義は民心の把握であり、建国精神、即ち民族協和の実践である事を銘心せねばならぬ。
かつて昭和十二年秋関東軍参謀副長として着任、皇帝に拝謁の際、皇帝から「日系軍官」の名を無くして貰いたいとの御言葉を賜って深く感激したことがある。これは今日も遺憾ながら実現せられていない。私としては誠に御申訳ないと自責しているのである。
複合民族の国家では各民族軍隊を造る事が正しいと信ずる。即ち満州国では日本人は日満議定書に基づき、日本軍隊に入って国防に当るのであるが、それ以外の民族は各別に軍隊を編制すべきである。現に蒙古人は蒙古軍隊を造っているが、朝鮮軍隊も編成すべきである(一部は実行せられているが、大々的に)。回々(イスラム)軍隊も考えられる(これは朝鮮軍隊ほど切実の問題ではない)。軍隊は兵器を持って危険な存在だから、言語や風俗を異にする民族の集合隊は適当と言えぬ。
日本人が漢民族の軍隊に入って働くのを反対するものではない。しかしそれは
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