を赧《あか》めながら言った。
「それじゃお前の何に当る人だ。」
お庄はへどもど[#「へどもど」に傍点]して、もう口が利けなかった。目にも涙が出た。
「お前の親類が、座敷へあがって酒を飲むなんて、変じゃないか。」
「え、だから皆さんにもお目にかかるって、そう言ったんですけれど、阿母さんは加減がわるいし、あなただって、今まで寝《やす》んでいらしったじゃありませんか。またそれほど近しい親類でもないんですもの。あの人が思いがけなくここを通って、ちょっと寄ったまでなんです。」
「うまく言ってら。四ツ谷へ行って聞いて見るからいいや。」
「え、いいんですとも。私そんな嘘なぞ吐《つ》きゃしませんよ。」
しばらく言い合ったが、お庄は秘《かく》し逐《おお》せないような気がした。そして袂《たもと》で顔ににじみ出る汗を拭きながら、黙って裏口の方へ出て行った。
女中に呼びに来られて出て行った時分には、磯野は書付けを前に置いて、座敷にぼんやりしていた。お庄は目に涙を一杯溜めていた。
「どうかしたの。」と、磯野は薄笑いをしていた。しばらくしてから、勘定が足りなくて、磯野のもじもじしていることが解った。
「勘定
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