の詰ったじくじくした体や色の蒼白い細面なども、坐る時薄々目に入った。
親戚たちの挨拶が長く続いた。
燭台《しょくだい》の火が目にちらつくようで、見まいとしている婿の姿が、横からまた目に映った。
盃《さかずき》の時、骨細い婿の手が、ぶるぶる顫《ふる》えていた。
七十
翌朝お庄が目を覚ました時分は、屋内《やうち》がまだひっそりしていたが、立て廻した屏風《びょうぶ》の外の日影は闌《た》けていた。昨夜《ゆうべ》は寝室《ねま》へ退《ひ》けてからも、衆《みんな》はいつまでも騒いでいた。終《しま》いにはお袋の三味線などが持ち出された。汽車の間に合わなくなって、東京へ帰れなかった連中もあった。意地の汚い浅山も酔い潰れて、次の室《ま》に衆《みんな》と一緒にごろ寝をすることになった。そんな人たちの疲れた寝息や鼾《いびき》が、こっちまでも聞えた。
子息《むすこ》の芳太郎《よしたろう》は、蒲団の外へ辷《すべ》り出したまま、まだ深い眠りに沈んでいた。角刈りにした頭の地も綺麗で、顔立ちも優しい方であったが、手足の筋肉がこちこちと硬かった。時々板前をやると見えて、どこか腥《なまぐさ》い臭《にお》いのするのも胸につかえるようであった。お庄は明け方までおちおち眠ることが出来なかった。
芳太郎の口から聞かされる家の様子の、お袋の話と違ったところのあることが、じきにお庄にも感づけた。盃をする間際《まぎわ》に、近所の飲み屋で酒を呷《あお》っていたのも、衆《みんな》が揶揄《からか》っていたように、きまりの悪いせいばかりとも思えなかった。芳太郎の父親が死んでから、父親の生きているうちに外妾《めかけ》から後妻に直ったお袋が、引っ張り込んで来た今の親父を、始終不快に思っている芳太郎の心持も呑み込めた。親父には、牛込にいる女房も子もあった。実の父親が逐《お》い出した芳太郎の母親は、長いあいだ田舎の方を流れ歩いて、今は消息も絶えていた。
「お前も、あの親父にいびられることくらいは覚悟していなくちゃ駄目だよ。」少し口がほぐれてきた時分に、芳太郎はそう言って狎《な》れ狎《な》れしげに、酒くさい息を吐《ふ》きかけた。
お庄はそんなことを憶い出しながら急いで床を離れると、屏風の外で着物を着換えて部屋を出た。
橋廊下から母屋《もや》の方の台所へ出て行くと、年増《としま》のと少《わか》いのと、女中が
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