すね。」
「まアそういった順ですかね。」
葬儀社が来たとか言って、丸山は奥へ呼び込まれて行った。
叔父はぼんやりしたような顔をして、時々そこいらへ姿を現わした。
「電報はもう届いていますらね。」と叔母の母親も、田舎の伜《せがれ》夫婦の出て来るか来ぬかを気にしては、訊いていた。
この晩、お庄は経を読んでいる法師《ぼうず》の傍へ来て坐る隙《ひま》もなかった。座敷の方が散らかって来ると、丸山の内儀《かみ》さんと一緒に、時々そこらを取り片着けて歩いた。そしてまた新しく酒や食べ物を持ち運んだ。
夜が更《ふ》けてから、母親は昼間しかけておいた、お庄の襦袢《じゅばん》などを、茶の間の隅の方で、また縫いにかかった。
「私はそれじゃ、御免|蒙《こうむ》って少し横にならしておもらい申しますわね。」
叔母の母親は、ひとしきり仏の前へ行って来ると、脹《は》れ爛《ただ》れたような目縁《まぶち》を赤くして、茶の室《ま》の方へ入って来た。そして母親と一緒に茶を飲んだり、煮物を摘《つま》んだりしていた。
「さあさあ明日もあるもんだて、一ト休みお休みなすって……。」と、母親も眠い目をしながら、四畳半の方から掻捲《かいま》きや蒲団を持ち出して来てやった。
静かになった座敷の方からは碁石の音などが響いて来た。
五十
「さあ皆さん打《ぶ》っ着けてしまいますよ。」葬儀屋の若いものと世話役の安公とが、大声に触れ立てると、衆《みんな》はぞろぞろと棺の側へ寄って行った。
細長い棺の中には、布《きれ》の茶袋が一杯詰められてあった。冠《かぶ》り物《もの》や、草鞋《わらじ》のような物がその端の方から見えた。生前にいろいろの着物を縫って着せるのが楽しみであった人形を入れてやろうかやるまいかということについて、女の連中がまた捫着《もんちゃく》していた。
「入れないそうです。」と、誰やらが大分経ってから声かけた。
衆《みんな》が笑い出した。
「残しておいても何だか気味がわるいようですから入れて下さい。」とお庄は言ったが、母親は惜しがった。
「私《わし》が娘《あれ》の片身に田舎へ連れて帰らしておもらい申しますわね。」と、姑も言い出した。安公がでこぼこの棺のなかを均《なら》しながら、ぐいぐい圧《お》しつけると、「おい来たよう。」と蓋《ふた》がやがてぴたりと卸《おろ》された。白襟《しろえり》に淡色の紋附
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