ちゅうがた》のくしゃくしゃになった寝衣《ねまき》に、紅《あか》い仕扱《しごき》を締めた姿が、細そりしていた。白粉《おしろい》の斑《まだら》にこびりついたような額のあたりが、屋根から照返して来る日光に汚《きたな》らしく見えた。
「どういたしまして」
 お島は無造作に懸つらねた干物の間を潜《くぐ》りぬけながら、袂《たもと》で汗ばんだ顔を拭《ふ》いていた。
「私は働かないではいられない性分ですからね。だから、どんなに働いたって何ともありませんよ」
「そう」
 女はまだうっとりした夢にでも浸っているような、どこか暗い目色《めつき》をしながら呟いた。
「私の寝るのは、大抵十二時か一時ですよ」
「そうですかね」お島は白々しいような返辞をして、「でも可《い》いじゃありませんか。お秀さんは好い身分だって、衆《みんな》がそう言っていますよ」
 女は紅くなって、厭な顔をした。
「そうそう、お秀さんといっちゃ悪かったっけね。御免なさいよ」

     八十三

「どうです、今日は素敵に好《い》いお顧客《とくい》を世話してもらいましたよ」
 半日でも一日でも、外へ出て来ないと気のすまないようなお島は、職人たち
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