はためきと口笛が、土煙のなかにむせ返った。
また再び、隊長は堪らなくなって、土煙のなかから駈け抜けた。だが、彼はもう二度と戦地の退屈を味うことが出来なかった。
「ボルシェビキ!……」
彼は油断なく後を振りむき、振りむき馬を進めなければならなかった。
長い輜重車の隊列が過ぎて行った曠野にはそこにもかしこにも瀕死の悲鳴がはっきりと聞え始めた。
底本:「日本プロレタリア文学全集10 文芸戦線作家集」新日本出版社
1985(昭和60)年11月25日初版
1989(平成元)年3月25日第4刷
底本の親本:「戦争に対する戦争」南宋書院
1928(昭和3)年5月
入力:林 幸雄
校正:大野裕
2003年8月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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