する著者の倫理とは如何なるものであろうか。フロベールがまた書いている「多く読み、多く想わねばならぬ、つねにスタイルのことを考えそして出来るだけ少く書くようにせねばならぬ、ひとつの形式をとることを求め、そして我々がそれの厳密正確な形式を見出すに至るまでは我々のうちで他の意味に変るイデーの激動を鎮めるためにのみ書くようにせねばならぬ」。多く読み、多く考え、そして出来るだけ少く書くこと、それが著者の倫理である筈である。しかし読むというにも沢山の違った仕方があるのであって、そして良く読むというには多くのエスプリが必要なのである。



底本:「読書と人生」新潮文庫、新潮社
   1974(昭和49)年10月30日発行
   1986(昭和61)年9月30日20刷
初出:「東京堂月報」
   1933(昭和8)年4月
入力:Juki
校正:小林繁雄
2010年1月5日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三木 清 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング