学徒も多い。どんなものでも原書で読もうとしているために、自分で考える余裕を奪われている人もある。なんと云っても飜訳なら速く読める、その上飜訳書はその内容の要領を掴《つか》む点から云っても便利である。原書癖を矯正することによって得られる利益は想像されるよりもずっと大きいだろうと思う。我々はまだまだ外国思想を移植する必要がある。けれどもこのことと原書癖とは区別されねばならぬ。飜訳書は学者以外の者の読むものであるかのように考えている偏見をなくすることが必要であると思う。
底本:「読書と人生」新潮文庫、新潮社
1974(昭和49)年10月30日発行
1986(昭和61)年9月30日20刷
初出:「文芸春秋」
1931(昭和6)年9月
入力:Juki
校正:小林繁雄
2010年1月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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