うのんきな身分、釣《つり》と植木が大好きで、朝早く大きな麦稈帽子《むぎわらぼうし》をかぶって、※[#「竹かんむり/令」、第3水準1−89−59]※[#「竹かんむり/省」、第4水準2−83−57]《びく》を下げて、釣竿《つりざお》を持って、霧の深い間から木槿《もくげ》の赤く白く見える垣《かき》の間の道を、てくてくと出かけて行く。そして日の暮れるころには、※[#「竹かんむり/令」、第3水準1−89−59]※[#「竹かんむり/省」、第4水準2−83−57]《びく》の中に金色《こんじき》をした鮒《ふな》や鯉《こい》をゴチャゴチャ入れて帰って来る。店子《たなこ》はおりおり擂《す》り鉢《ばち》にみごとな鮒を入れてもらうことなどもある。釣に行かぬ時は、たいてい腰を曲げて盆栽《ぼんさい》や草花などを丹念にいじくっている。そうかといってべつにたいしたものがあるのでもない。楓《かえで》に、欅《けやき》に、檜《ひのき》に、蘇鉄《そてつ》ぐらいなものだが、それを内に入れたり出したりして、楽しみそうに眺めている。花壇にはいろいろ西洋種もまいて、天竺牡丹《てんじくぼたん》や遊蝶草《ゆうちょうそう》などが咲いている
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