ょっと見ぬ間に非常に大人びた女生徒の田原ひでがにこにこと笑って立っていた。昨年の卒業生で、できのいいので評判であったが、卒業すると、すぐ浦和の師範学校に行った。高等二年生の時から清三が手がけて教えたので、ことにかれをなつかしがっている。高等四年のころに、新体詩などを作ったり和文を書いたりして清三に見せた。家《うち》はちょっとした農家で、散歩の折りに清三が寄ってみたこともあった。あまり可愛がるので、「林先生は田原さんばかり贔屓《ひいき》にしている」などと生徒から言われたこともあった。丸顔の色の白い田舎《いなか》にはめずらしいハイカラな子で、音楽が好きで、清三の教えた新体詩をオルガンに合わせてよく歌った。師範学校の寄宿舎からも、つねに自然の、運命の、熱情のと手紙をよこした。教え子の一人よりなつかしき先生へと書いて来たこともあった。時には、詩をくださいなどと言って来ることもあった。
「田原さん!」
清三は立ち上がった。
「どうしたんです?」
続いてたずねた。
「今日用事があって、家《うち》に参りましたから、ちょっとおうかがいしましたの」
言葉から様子からこうも変わるものかと思うほど大人
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