母親もこのごろ清三のきわだってやさしくなったのを喜んだが、しかしまた心配にならぬでもなかった。にわかに気の弱くなったのは病気のためではないかと思った。清三が行くと、賃仕事を午後から休んで、白玉のしる粉などをこしらえてもてなした。寝汗が出るということを聞いて、「お前、ほんとうにお医者《いしゃ》にかかって見てもらわなくっていいのかね」と顔に心配の色を見せて言った。
 時には荻生さんを羽生から誘って来て、宿直室に一夜泊まらせることなどもあった。荻生さんはこのごろ話のある養子の口のことを語って、「その家は君、相応に財産があるんですって、いまに、りっぱな旦那になったら、たんとご馳走をしますよ。君ぐらい一人置いてあげてもいい」などと戯談《じょうだん》を言って快活に笑った。荻生さんは床にはいると、すぐ鼾《いびき》をたてて安らかに熟睡《じゅくすい》した。こうして安らかに世を送り得る人を清三はうらやましく思った。
 関さんはすいかずら[#「すいかずら」に傍点]やじゃのひげ[#「じゃのひげ」に傍点]や大黄[#「大黄」に傍点]などを枯れ草の中に見いだして教えてくれた。寒い冬の中にもきわだって暖かい春のような
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