こしらえない。母親は息子《むすこ》のこのごろどうかしているのをそれとなく感じて時々心を読もうとするような眼色《めつき》をして、ジッと清三の顔を見つめることがある。
 ある時こんなことを言った。
「この間ね、いい嫁があるッて、世話しようッて言う人があるんだがね……お前ももう身もきまったことだし、どうだ、もらう気はないかえ?」
 清三は母の顔をじっと見て、
「だッて、自分が食べることさえたいていじゃないんだから」
「それはそうだろうけれど、お前ぐらいの月給で、女房子を養っている人はいくらもあるよ。いっしょになって、学校の近くに引っ越して、倹約して暮らすようにすれば、人並みにはやっていけないことはないよ」
「でもまだ早いから」
「でも、こうして離れていては、お前がどんなことをしているかわからないし」と笑ってみせて、
「それに、お前だッて不自由な思いをして、いつまで学校にいたッてしかたがないじゃないか」
「お母さん、そんなこと言うけれど、僕はまだこれで望みもあるんです。いま少し勉強して中学の教員の免状ぐらいは取りたいと思っているんだから……今から女房などを持ったッてしかたがありゃしない」
「そ
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