れるやうな心持がしながら、その二つの姿から眼を離さなかつた。
 大抵なら、長い間には、そこらにちよつと立留るとか、うしろを振返るとか、横顏を見せるとかするものであつたが、餘程深く話し込んでゐると見えて、足の歩調をゆるめるでもなく、周圍を見廻すでもなく、ひたりと體を押しつけるやうにして、熱心に話しながらたゞ先へ先へと歩いて行つた。
 少くともさうした形で、三町ぐらゐは行つた。
 しまひには此方で勞れた。窕子は路の傍にある榻に身を寄せて、そんなものにいつまで心を寄せてゐても爲方がないといふやうに、今度は下に展げられた溪の流の方へと眼をやつた。そこには石がごろごろころがつて、水がその間をすさまじく碎けて流れてゐた。
 かれ等はそんなことも知らずに――何處まで行つたらその熱心な物語は盡きるだらうといふやうに、やつぱり同じ歩調で肩を竝べて歩いて行つた。その二つの姿はやがて向うの草むらの中へとかくれて行つて了つた。
 何のくらゐゐたか、小半※[#「日+向」、第3水準1−85−25]くらゐゐたか、それとも半※[#「日+向」、第3水準1−85−25]くらゐゐたか、自分でも自分がわからずに、草むらに日影
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