いまして、皆さまがこれでフロックコートをお拵らへになりますので。※[#終わり二重括弧、1−2−55]商人が尺を計つて、妻を断つ。イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチはそれを、小腋に抱へて猶太人の裁縫師の店へ行く。※[#始め二重括弧、1−2−54]これあ駄目です。※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、猶太人が言ふのだ。※[#始め二重括弧、1−2−54]これはくだらない布地《きれぢ》ですよ! こんな品でフロックなど拵らへる者はありませんよ……。※[#終わり二重括弧、1−2−55]
 恐怖のあまり、正気を失つたやうになつて、イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチは夢から醒めた。冷汗がタラタラと流れた。
 朝になつて起きあがるなり、彼は占ひ本を開けて見た。その巻末には、珍らしく行き届いた書肆《ほんや》の親切で、簡単な夢占ひが附録につけてあつた。しかしその中にも、いつかう、さうした辻褄の合はぬ夢に該当するものは見当らなかつた。
 それはさて、一方、叔母さんの頭の中には、全く新規な計画が成熟しつつあつた。それは次ぎの章を見てのお楽しみ。
[#地から2
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