若者でせうが!※[#終わり二重括弧、1−2−55]とでも言つてゐるやうだつた。汚れた襯衣《シャツ》を著た腕白どもが物珍らしさうに駈けて来た。十六匹の仔豚をつれて庭を徘徊してゐた牝豚は、探るやうな顔つきで鼻づらを上へあげて、いつもより声高にゲエゲエ唸つた。庭の地べたに、莚にひろげた小麦や稷や大麦が夥しく天日に乾してあつた。
 イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチはひどく夢中になつて、さうしたものに見惚れてゐたが、馭者台から降りたばかりの猶太人の腓《ふくらはぎ》に斑犬《ぶちいぬ》が噛みついた時、はじめて我れに返つた。炊事婦《すゐじをんな》と、下働女《したばたらき》と、それから毛織の下袴《ペチコート》を穿いた二人の女中から成る使用人の一隊が駈けよつて、※[#始め二重括弧、1−2−54]あれまあ、お邸の旦那様だよ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、先づ一言おつたまげた声で叫んでから、叔母さんは女中のパラーシュカと、それから、時には作男や夜番の役目まで引きうける馭者のオメーリコを連れて、畠へ麦を蒔きつけに行つてゐると告げた。しかし、目ざとくも遠くから蓙掛《ござが》け
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