したの山のぼりのげんきをやしなうことにしました。
さて、その宿屋の下のへやの、大きな酒場《さかば》には、おおぜい人があつまっていました。人形芝居をもって旅まわりしている男が来て、ちょうどそこへ小さい舞台をしかけたところでした。みんなはそれをとりまいて、幕のあくのを待つさいちゅうでした。ところで、いちばんまえの席は、ふとった肉屋のおやじが、ひとりでせんりょうしていましたが、それがまた最上の席でもあったでしょう。しかも大きなブルドッグが、それがまあなんとにくらしい、くいつきそうな顔をしていたでしょう。そやつが主人のわきに座をかまえて、いっぱし人間なみに、大きな目をひからしていました。
そのうち、芝居がはじまりましたが、それは王さまと女王さまの出てくる、なかなかおもしろい喜劇でした。ふたりの陛下は、びろうどの玉座に腰をかけて、どうしてなかなかの衣裳《いしょう》もちでしたから、金のかんむりをかぶって、ながいすそを着物のうしろにひいていました。ガラスの目玉をはめて、大きなうわひげをはやした、それはかわいらしいでくのぼうが、どの戸口にも立っていて、しめたり、あけたり、おへやのなかにすずしい風の
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