せと編んでいました。いよいよ死刑になりにいく道みちも、やりかけたしごとをやめようとはしませんでした。十枚のくさりかたびらは足の下にありました。いま十一枚目をこしらえているところなのです。人民たちはあつまって来て、口ぐちにあざけりました。
「見ろ、魔女がなにかぶつぶついっている。さんびかの本ももっていやしない。どうして、まだいやな魔法をやっているのだ。あんなもの、ばらばらにひき裂いてしまえ。」
こういって、みんなひしひしとそばへ寄って来て、くさりかたびらを引き裂こうとしました。そのとき、十一羽の野のはくちょうがさあッとまいおりました。馬車のうえにとまって、エリーザをかこんで、つばさをばたばたやりました。すると群衆はおどろいてあとへ引きました。
「あれは天のおさとしだ。きっとあの女には罪はないのだ。」と、おおぜいのものがささやきました。けれど、たれもそれを大きな声ではっきりといいきるものはありませんでした。
そのとき、役人が来て、[#「、」は底本では「。」]エリーザの手をおさえました。そこで、エリーザはあわてて、十一枚のくさりかたびらをはくちょうたちのうえになげかけました。すると、すぐ
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