ォ給ひぬ。法皇の禁軍《まもりのつはもの》の號衣《しるし》を着たる、少《わか》く美しき士官は我手を握りぬ。人々さま/″\の事を問ふに、我は臆することなく答へつ。その詞に、人々或は譽めそやし、或は高く笑ひぬ。主人入り來りて、我に歌うたへといふに、我は喜んで命に從ひぬ。士官は我に報せんとて、泡立てる酒を酌みてわたしゝかば、我何の心もつかで飮み乾さんとせしに、貴婦人|快《はや》く傍より取り給ひぬ。我口に入りしは少許《すこしばかり》なるに、その酒は火の如く※[#「諂のつくり+炎」、第3水準1−87−64]《ほのほ》の如く、脈々をめぐりぬ。貴婦人はなほ我傍を離れず、笑を含みて立ち給へり。士官我にこの御方の上を歌へと勸めしに、我又喜んで歌ひぬ。何事をか聯《つら》ねけん、いまは覺えず。人々はわが詞の多かりしを、才豐なりと稱へ、わが臆せざるを、心|敏《さと》しと譽めたり。カムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]なる貧きものゝ子なりとおもへば、世の常なる作をも、天才の爲せるわざの如く、愛《め》でくつがへるなるべし。人々は掌を鳴せり。士官は座の隅なる石像に戴かせたりし、美しき月桂冠を取り來りて、笑みつゝ我頭
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