O國人にあらず。その衣を見るに羅馬の貴人とおぼし。この人草木の花を愛《め》づる癖あり。けふも採集に出でゝ、ポンテ、モルレ[#「ポンテ、モルレ」に二重傍線]にて車を下り、テヱエル[#「テヱエル」に二重傍線]河に沿ひてこなたへ來しに、圖らずも水牛の群にあひぬ。その一つ、いかなる故にか、群を離れて衝《つ》き來たりしが、幸にこの家の戸開きて、危き難を免れきとなり。ドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]聞きて。さらばおん身を救ひしは、疑もなく聖母のおんしわざなり。この童は聖母の愛でさせ給ふものなれば、それに戸をば開かせ給ひしなり。おん身はまだ此童を識り給はず。物讀むことには長《た》けたれば、書きたるをも、印《お》したるをも、え讀まずといふことなし。畫かくことを善くして、いかなる形のものをも、明にそれと見ゆるやうに寫せり。「ピエトロ」寺の塔をも、水牛をも、肥えふとりたるパアテル・アムブロジオ[#「パアテル・アムブロジオ」に傍線](僧の名)をもゑがきぬ。聲は類なくめでたし。おん身にかれが歌ふを聞かせまほし。法皇の伶人もこれには優らざるべし。そが上に性《さが》すなほなる兒なり。善き兒なり。子供には譽めて聞か
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