fを畫けり。贄卓に近づけば、卓前に三つの燈の點ぜられたるを見る。董花《すみれ》のかほり高き邊《ほとり》、覆《おほ》はざる柩の裏に、堆《うづたか》き花瓣《はなびら》の紫に埋もれたる屍《かばね》こそあれ。長《たけ》なる黒髮を額《ぬか》に綰《わが》ねて、これにも一束の菫花を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]めり。是れ瞑目せるマリア[#「マリア」に傍線]なりき。我が夢寐《むび》の間《あひだ》に忘るゝことなかりしララ[#「ララ」に傍線]なりき。われは一聲、ララ[#「ララ」に傍線]、など我を棄てゝ去れると叫び、千行《ちすぢ》の涙を屍《かばね》の上に灑《そゝ》ぎ、又聲ふりしぼりて、逝《ゆ》け、わが心の妻よ、われは誓ひて復た此世の女子《によし》を娶《めと》らじと呼び、我指に嵌《は》めたりし環を抽《ぬ》きて、そを屍の指に遷《うつ》し、頭を俯して屍の額に接吻しつ。爾時《そのとき》我血は氷の如く冷えて、五體|戰《ふる》ひをのゝき、夢とも現《うつゝ》とも分かぬ間《ま》に、屍の指はしかと我手を握り屍の唇は徐《しづ》かに開きつ。われは毛髮|倒《さかしま》に竪《た》ちて、卓と柩
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