Xタ》は客を招き筵を張ることありや。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]。稀にそのことなきにあらず。されど招請《せうせい》を慎《つゝし》むこといと嚴《おごそか》なり。矧《いはん》や彼人は物に怯《おそ》るゝこと鹿子《かのこ》の如く、同じ席に列《つらな》るものもたやすく近づくこと能はざるを奈何せん。われは必ずしもかの人心より此の如しと説かず。そは人にめづらしがられんとてかく振舞ふ女も少からねばなり。そが上に彼人の身上には明白ならざる處なきにしもあらず。わが聞くところに依れば、市長に二人の妹ありて、皆久しく遠國に住めりき。その最も少《わか》き方の妹は希臘人に嫁ぎたりしに、その夫婦の間に彼の奇《く》しき少女はまうけられぬといふ。今一人の妹は猶|處子《しよし》なり、しかも老いたる處子なり。四とせ前の頃彼の少女を伴ひて歸り來りしは、此の老處子に他ならざりき。
 夜の如き闇黒は急に酒亭《オステリア》を襲ひて、ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]が話の腰を折りたり。あなやと驚く隙《ひま》もあらせず、赫然《かくぜん》たる電光は身邊を繞《めぐ》り、次いで雷聲大に震ひ、我等二人をして覺えず首を低《た》れて、十字を空
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