vに傍線]に親まんことを願ひしかば、今ゆくりなくこれに逢ひて、心にこの邂逅を喜び、早く胸の狹霧《さぎり》のこれがために晴るゝを覺えき。
 ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]は海を指ざしてかゝる青く波立てる大面積は羅馬の無き所なり、おほよそ地上の美なるもの海に若《し》くはなかるべし、宜《むべ》なり海はアフロヂテ[#「アフロヂテ」に傍線]の母にしてと云ひさし、少し笑ひて、又ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]歴代の大統領の未亡人なりといへり。われ。海を愛する心は、ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]の人殊に深かるべき理《ことわり》あり。海は己れが母なるヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]の母にして、己れを愛撫し己れを游嬉せしむる祖母なればなり。ホツジヨ。その氣高かりし海の女《むすめ》の今は頭を低《た》れたるぞ哀なる。われ。フランツ[#「フランツ」に傍線]帝の下にありて幸ありとはいふべからざるか。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]。われは政治を解せず。ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]人は今も不平を説くことを須《もち》ゐざるなるべし。されどわが解するところのものは美妙なり。陸上宮殿の柱像《カリ
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