tの美を討《たづ》ねて、その華麗を極めたる空《むな》しき殿堂を經※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《へめぐ》り、おそろしき活《いき》地獄の圖ある鞠問所《きくもんじよ》を觀き。われは彼四面皆|塞《ふさが》りたる橋の、小舟通ふ溝渠の上に架せられたるを渡りぬ。是れ館より牢獄に往く道にして、名づけて歎息橋と曰ふとぞ。橋に接する處は即ち牢井《らうせい》なり。廊《わたどの》に點じたる燈火《ともしび》は僅かに狹き鐵格《てつがう》を穿ちて、最上層の獄《ひとや》を照し出せり。此層の如きは、これを下層に比するときは、猶晴やかなる房《へや》と稱すべきならん。濕《うるほ》ひて菌《きのこ》を生じたる床は、※[#「二点しんにょう+向」、第3水準1−92−55]《はるか》に溝渠の水面の下にあり。あはれ、此房の壁は幾何《いくばく》の人の歎息と叫喚とを聞きつる。われは慴然《せふぜん》として肌膚《きふ》の粟《あは》を生ずるを覺え、急に舟を呼んで薄赤いろなる古宮殿、獅子を刻める石柱の前を過ぎ、鹹澤《かんたく》の方に向ひぬ。舟の指すところは即ち所謂|岸區《リド》なりき。
われは岸區に近づくとき、何物をか見し。ここに
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