Aチ」に二重傍線]の少女の群は、髮を編みて、銀《しろがね》の箭《や》にて留め、薄き面紗《ヴエール》の端を、やさしく髻《もとゞり》の上にて結びたり。ヱルレトリ[#「ヱルレトリ」に二重傍線]の少女の群は、頭に環かざりを戴き、美しき肩、圓き乳房の露《あらは》るゝやうに着たる衣に、襟の邊《あたり》より、彩《いろど》りたる巾《きれ》を下げたり。アプルツチイ[#「アプルツチイ」に二重傍線]よりも、大澤《たいたく》よりも、おほよそ近きほとりの民悉くつどひ來て、おの/\古風を存じたる打扮《いでたち》したれば、その入り亂れたるを見るときは、餘所《よそ》の國にはあるまじき奇觀なるべし。花を飾りたる天蓋の下に、華美《はでやか》なる式の衣を着けて歩み來たるは、「カルヂナアレ」なり。さま/″\の宗派に屬する僧は、燃ゆる蝋燭を取りてこれに隨へり。行列のことごとく寺を離るゝとき、群衆はその後に跟《つ》いて動きはじめき。我等もこの間にありしが、母上はしかと我肩を按《おさ》へて、人に押し隔てられじとし給へり。我等は人に揉まれつゝ歩を移せり。我目に見ゆるは、唯だ頭上の青空のみ。忽ち我等がめぐりに、人々の諸聲《もろごゑ》に
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