oスチアノ」に傍線]の像を物せり。此廣間は絶えず遠雷の如き響ありて、四壁に反響す。われその響を追ひて狹き戸を濳り出でしに、道は「ミユルツス」と葡萄との鬱茂せる間に窮まりて、脚底|千仞《せんじん》の斷崖を形づくれり。一の瀑布ありてこれに懸る。月光其泡沫を射て、銀丸を擲《なげう》つ如し。凡そ此等の景は、なべて世の好奇心あるものを動かすに足るものなるべし。されど富時の我の憂愁に沈める、或は等閑に看過したらんも知るべからず。幸に我は此境に在りて、別に一事に遭ひたり。我は其事を我心上に血書して復た消滅すべからざらしめしが故に、亦併せて此景の詳《つばら》なることを記し得たり。
崖に沿ひて一條《ひとすぢ》の細徑《ほそみち》あり。迂※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]して初の街道に通ず。われは高萱《たかがや》を分け小草《をぐさ》を踏みて行きしに、月は高き石垣の上を照して、三人《みたり》の色蒼ざめたる首《かうべ》の、鐵格の背後《うしろ》より、我を覗《うかゞ》ふを見たり。こは山賊を梟《けう》せるなりき。ネピ[#「ネピ」に二重傍線]の人の此壁上に梟首するは、羅馬の人のアンジエロ[#「アンジエロ」に傍
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