の字点、1−2−22]切に、われはこの通路《かよひぢ》の行末いかになるべきかを危《あやぶ》まざること能はざるに至りぬ。果せる哉、ある暗き夕我が尼寺の一窓の微《かすか》に燈光を洩せるを仰ぎ見て、心に小尼公をおもふ時、忽ち傍よりアントニオ[#「アントニオ」に傍線]と呼ぶものあるを聞きつ。アントニオ[#「アントニオ」に傍線]、おん身はこゝに何をか爲せる。我は頭《かうべ》を囘《めぐら》して公子の面を認め得たり。公子は直ちに我を促して共に歸りぬ。公子は途上復たわれと一語を交へざるに、われは心に公子の思はん程の恥かしくて、その面を見ることを敢てせざりき。我室に入りて相對せる時、公子容《かたち》を改めて宣給ふやう。アントニオ[#「アントニオ」に傍線]よ。御身の病はまだ痊《い》えずと覺し。少しく世の人に立ち交りて、氣鬱を散ぜんかた、身の爲めに宜しからん。曩《さき》にはおん身一たび翼を張りて飛ばんとせしを、われ強ひて抑留し、おん身をして久しく樊籠《はんろう》の中にあらしめき。そは我過《あやまち》にはあらざりしか。人各※[#二の字点、1−2−22]意志あり。行かんと欲するところに行き、住《とゞ》まらんと
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