Bされどわれは此一家の復た我に厚きを喜ぶと共に、人の我を恕するは我を輕んずる所以《ゆゑん》なるを思ふことを禁じ得ざりき。

   教育

 ボルゲエゼ[#「ボルゲエゼ」に傍線]家の宮殿は今わが居處となりぬ。人々の我をもてなし給ふさまは、昔に比ぶれば優しく又親しかりき。時として我を輕んずるやうなる詞、我を侮《あなど》るやうなる行《おこなひ》なきにしもあらねど、そはわが爲め好かれとて言ひもし行ひもし給ふなれば、憎むべきにはあらざるなるべし。
 夏は人々暑さを避けんとて餘所《よそ》に遷《うつ》り給へば、われ獨り留まりて大廈の中にあり。涼しき風吹き初《そ》むれば人々歸り給ふ。かく我は漸く又此境遇に安んずることゝなりぬ。
 我は最早カムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]の野の童《わらは》にはあらず。最早當時の如く人の詞といふ詞を信ずること、宗教に志篤き人の信條を奉ずると同じきこと能はず。我は最早「ジエスヰタ」派學校の生徒にはあらず。最早教育の名をもてするあらゆる束縛を甘んじ受くること能はず。さるを憾《うら》むらくは人々、猶我を視ることカムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]の野の童、「ジエスヰ
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