ォ景色にはあらずやと宣給へり。「ラテラノ」の寺、丈長き尖柱《オベリスコス》、「コリゼエオ」の大廈《たいか》の址《あと》、トラヤヌス[#「トラヤヌス」に傍線]の廣こうぢ、いづれか我舊夢を喚び返す媒《なかだち》ならざる。
羅馬は拿破里の熱鬧《ねつたう》に似ず。コルソオ[#「コルソオ」に二重傍線]の大路は長しと雖、繁華なるトレド[#「トレド」に二重傍線]の街と異なり。車の窓より道行く人を覗ふに、むかし見し人も少からず。老いたる教師ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]のボルゲエゼ[#「ボルゲエゼ」に傍線]家の車の章《しるし》に心づきて、蹣跚《まんさん》たる歩を住《とゞ》め我等を禮《ゐや》したるは、おもはずなる心地せらる。コンドツチイ[#「コンドツチイ」に二重傍線]街(ヰヤ、コンドツチイ)の角を過ぐれば、むかしながらのペツポ[#「ペツポ」に傍線]が手に屐《あしだ》まがひの木片《きぎれ》を裝ひて、道の傍に坐せるを見る。
フランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]の君の、やう/\我家に歸り着きぬと宣給ふに答へて、まことにさなりと云ひつゝも、我は心の内に名状し難き感情の迫り來るを
前へ
次へ
全674ページ中503ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
アンデルセン ハンス・クリスチャン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング