vリ[#「カプリ」に二重傍線]に※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]りて還らんとなり。公子の宣給《のたま》ふやう。拿破里に還らば、留まることは一日にして羅馬へ立たんとぞ思ふ。アントニオ[#「アントニオ」に傍線]が準備も暇取ることはあらじと宣給ふ。われは羅馬に往くことを願はねど、例の恩誼に口を塞がれて、僅かに、老公のおほん憤《いきどほり》の氣遣はれてとのみ云ひしに、そはわれ等申し解くべしと答へて我に詞を繼がしめ給はず。兎角する程に、賓客のおとづれ來て、會話はこゝに絶え、我不幸なる運命もまた定まりぬ。

   夜襲

 天氣好き日の朝舟出して、海より望めばサレルノ[#「サレルノ」に二重傍線]の美しさは又一しほなるを覺えぬ。筋骨逞ましき男六人|※[#「舟+虜」、第4水準2−85−82]《ろ》を搖《うごか》せり。畫にしても見まほしき美少年一人|柁《かぢ》の傍に蹲《うづくま》りたるが、名を問へばアルフオンソオ[#「アルフオンソオ」に傍線]と答ふ。水は緑いろにして透《す》き徹《とほ》り、硝子《ガラス》もて張りたる如し。右手《めて》なる岸の全景は、空想のセミラミス[#「セミラミス」に傍線]や築
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