kンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]も男欲しかりしなり。斯く言ひ掛けて、サンタ[#「サンタ」に傍線]は愛らしき聲して笑ひ、おん身の餘りに罪なき性《さが》なるため、我に女の口より言ひ難き事さへ言はしめ給ふこそ憎けれとて、指もて我頬を彈《はじ》きたり。
旅店に還りて獨り思ふに、サンタ[#「サンタ」に傍線]の我を評する言は、昔ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]の我を評せし言と同じ。此頃又フエデリゴ[#「フエデリゴ」に傍線]の話を聞きしに、その羅馬にありし日の經歴には、我の夢にだに知らざるやうなることもありて、賤《いや》しきマリウチア[#「マリウチア」に傍線]さへその事に與《あづか》れりといふ。世の人はわが厭ひおそるゝところのものを悦び樂むにや。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の我を棄てゝベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]を取りしなどは、現《げ》にもこれを證して餘あるが如くなり。果して然らばアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]は我感情を愛して我意志を嫌ひしにやあらん。あらず、わが意志の闕乏《けつばう》を嫌ひしにやあらん、いと覺束《おぼつか》なく心許《こゝろもと》なき
前へ
次へ
全674ページ中355ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
アンデルセン ハンス・クリスチャン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング