ゥ》ひ、短歌《アリア》を唱《うた》ひ出せり。その曲は偶※[#二の字点、1−2−22]《たま/\》アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]がヂド[#「ヂド」に傍線]に扮して唱ひしものと同じけれども、その力を用ゐる多少と人を動《うごか》す深淺とは、固《もと》より日を同うして語るべきならず。われは只だ衆のなすところに傚《なら》ひて、共に拍手したるのみ。少女《をとめ》は又輕快なる舞の曲を彈じ出せり。男客《をとこきやく》の三人四人は、急に傍《かたはら》なる婦人を誘《いざな》ひて舞ひはじめたり。われは避けて、とある窓龕《さうがん》に躱《かく》れたり。
初めわれは席に入りしとき、痩せたる小男の眼鏡懸けたるが、忙《せは》しげに此間に出入するを見たり。この男わが窓龕にかくれしを見て、我前に立ち留まり、慇懃《いんぎん》なる禮をなせり。われはその何人なるを知らねども、姑《しばら》く共に語らばやとおもひて、ヱズヰオ[#「ヱズヰオ」に二重傍線]の山の噴火の事を説き、その熔巖の流れ下る状《さま》など、外より來るものゝ目を驚かす由を云ひたり。小男の答ふるやう。否。今の噴火の景などは言ふに足らず。プリニウス[#「プ
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