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友と廊に出でゝ望むに、その景色の好きこと、想像の能く及ぶ所にあらず。脚の下には柑子《かうじ》、檸檬《リモネ》などの果樹の林あり。黄金いろしたる實の重きがために、枝は殆ど地に低《た》れんとす。丈高き針葉樹の園を限りたるさまは、北伊太利の柳と相似たり。この木立の極めて黒きは、これに接したる末遙なる海原《うなばら》の極めて明《あか》ければなり。園の一邊《かたほとり》の石垣の方を見れば、寄せ來る波は古の神祠|温泉《いでゆ》の址《あと》を打てり。白帆懸けたる大舟小舟は、徐《しづ》かに高き家の軒を並べたるガエタ[#「ガエタ」に二重傍線]の灣《いりえ》に進み入る。(原註。ガエタ[#「ガエタ」に二重傍線]はカエタ[#「カエタ」に傍線]より出でたる名なりといふ。是れヰルギリウス[#「ヰルギリウス」に傍線]が詩の主人公エネエアス[#「エネエアス」に傍線]が乳媼《めのと》の名にして、此港を以て其埋骨の地となせるなり。)灣《いりえ》の背後《うしろ》に一山の聳ゆるありて、その嶺には古壘壁を見る。友は左の方を指してヱズヰオ[#「ヱズヰオ」に二重傍線]の烟を見よといふ。眸を轉じて望めば、火山の輪廓は一抹の輕雲
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