ノはめでたき歌を賜《たま》はりぬ。その作者は君なること、おん友達より承りて、いかでおん目にかゝらんと願ひ居りしに、窓より君を見付けて、わが詞を聞かで呼び入れ給ひぬ。禮なしとや思ひ給ひけん。されどおん友達の上は、我より君こそよく知りておはすらめ。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は戲もて姫がこの詞に答へ、我は僅にはじめて相見る喜を述べたり。我頬は燃ゆる如くなりき。姫のさし伸べたる手を握りて、我は熱き唇に當てたり。姫は室にありし男を我に引き合せつ。すなはちこの群の樂長なりき。又媼は姫のやしなひ親なりといふ。その友と我とを見る目《ま》なざしは廉《かど》ある如く覺えらるれど、姫が待遇《もてなし》のよきに、我等が興は損《そこな》はるゝに至らざりき。
 樂長は我詩を讚めて、われと握手し、かゝる技倆ある人のいかなれば樂劇《オペラ》を作らざる、早くおもひ立ちて、その初の一曲をば、おのれに節附せさせよと勸めたり。姫その詞を遮《さへぎ》りて。彼が言を聞き給ふな。君にいかなる憂き目をか見せんとする。樂人は作者の苦心をおもはず、聽衆はまた樂人よりも冷淡なるものなり。こよひの出物《でもの》なる樂劇の本讀《
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