フは黄金のみにあらず。白銀いだす脈もあり。錫《すゞ》その外|卑《いやし》き金屬を出す脈もあり。その卑きも世に益あるものにしあれば、只管《ひたすら》に言ひ腐《くた》すべきにもあらず。これを磨き、これに鏤《ちりば》むるときは、金とも銀とも見ゆることあらん。されば世の中の詩人には、金の詩人、銀の詩人、銅の詩人、鐵の詩人などありとも謂ふことを得べし。こゝに此列に加はるべきならぬ、埴《はに》もて物作る人ありて、強ひて自ら詩人と稱す。ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]は實にその一人なりき。
ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]は當時一流の埴瓮《はにべ》つくりはじめて、これを氣象情致の※[#「二点しんにょう+向」、第3水準1−92−55]《はるか》に優れたる詩人に擲《な》げ付け、自ら恥づることを知らざりき。字法句法の輕捷《けいせふ》なる、體制音調の流麗なる、詩にあらねども詩とおもはれ、人々の喝采を受けたり。平生ペトラルカ[#「ペトラルカ」に傍線]を崇《あが》むも、その「ソネツトオ」の音調のみ會し得たるにやあらん。さらずば、矮人《わいじん》觀場なりしか。又狂人にあり
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