ノ咲き出でたるは、わが本國なる伊太利なりき。我も一個の羅馬人ぞとおもふ心には、我を興起せしむる力なからんや。我都のうちには、寸尺の地として、我愛を引き、我興を催さゞるものなし。街の傍に棄てられて、今は界《さかひ》の石となりたる、古き柱頭も、わがためには、神聖なる記念なり、わがためには、めでたき音色に心を惱ますメムノン[#「メムノン」に傍線]が塔なり。(昔物語にアメノフイス[#「アメノフイス」に傍線]といふ王ありき。エチオピア[#「エチオピア」に二重傍線]を領しつるが、希臘のアヒルレエス[#「アヒルレエス」に傍線]に滅されぬ。その像を刻める塔、埃及《エヂプト》なるヂオスポリス[#「ヂオスポリス」に二重傍線]に立てり、日出日沒ごとに鳴るといひ傳ふ。)テヱエル[#「テヱエル」に二重傍線]河に生ふる蘆の葉は風に戰《そよ》ぎて、我にロムルス[#「ロムルス」に傍線]とレムス[#「レムス」に傍線]との上を語れり。凱旋門、石の柱、石の像は、皆我心に本國の歴史を刻ましめんとす。我心はつねに古希臘、古羅馬の時代に遊びて、師の賞譽にあづかりぬ。
凡そ政界にも、教界にも、旗亭に集まるものも、富豪の骨牌《かる
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