いさまを馬にのせてつれてあるけるように、男のお小姓《こしょう》の着る服をこしらえてやりました。ふたりは、いいにおいのする森のなかを、馬であるきました。すると、みどりのこい木の枝が、ふたりの肩にさわったり、小鳥たちが、みすみずしい葉かげで歌をうたいました。ひいさまは、王子について、たかい山にものぼりました。そんなとき、きゃしゃな[#「きゃしゃな」は底本では「きゃしな」]足から血がながれて、ほかのひとたちの目につくほどになっても、ひいさまはわらっていました。そうして、どこまでも王子にくっついていって、雲が、よその国へわたっていく鳥のむれのように、とんでいるところを、はるか目のしたにながめました。
 うちで、王子のお城のなかにいるとき、夜な夜な、ほかのひとたちのねむっているあいだに、ひいさまは、大理石の階段のうえに出ました。そうして、もえるような足を、つめたい海の水にひたしました。そうしているうち、はるか下の海のそこの、わかれて来たひとたちのことが、こころにうかんで来ました。
 そういう夜のつづいているとき、ある晩、夜ぶかく、人魚のおねえさまたちが、手をつなぎあってでて来ました。波のうえにう
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