ゲルダはまだねむっていたおばあさまに、せっぷんして、赤いくつをはき、たったひとりぼっちで、町の門を出て、川のほうへあるいていきました。
「川さん、あなたが、わたしのすきなおともだちを、とっていってしまったというのは、ほんとうなの。この赤いくつをあげるわ。そのかわり、カイちゃんをかえしてね。」
すると川の水が、よしよしというように、みょうに波だってみえたので、ゲルダはじぶんのもっているもののなかでいちばんすきだった、赤いくつをぬいで、ふたつとも、川のなかになげこみました。ところが、くつは岸の近くにおちたので、さざ波がすぐ、ゲルダの立っているところへ、くつをはこんできてしまいました。まるで川は、ゲルダから、いちばんだいじなものをもらうことをのぞんでいないように見えました。なぜなら、川はカイをかくしてはいなかったからです。けれど、ゲルダは、くつをもっととおくのほうへなげないからいけなかったのだとおもいました。そこで、あしのしげみにうかんでいた小舟にのりました。そして舟のいちばんはしへいって、そこからくつをなげこみました。でも、小舟はしっかりと岸にもやってなかったので、くつをなげるので動かし
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