やさしい奥さまの足を、いやというほどけりつけました。やっとのことで、みんなはカレンのくつをぬがせました。それで、カレンの足は、ようやくおとなしくなりました。
 内へかえると、そのくつは、戸棚にしまいこまれてしまいました。けれどもカレンはそのくつが見たくてたまりませんでした。
 さて、そのうち、お年よりの奥さまは、たいそう重い病気にかかって、みんなの話によると、もう二どとおき上がれまいということでした。たれかがそのそばについて看病《かんびょう》して世話してあげなければなりませんでした。このことは、たれよりもまずカレンがしなければならないつとめでした。けれどもその日は、その町で大|舞踏会《ぶとうかい》がひらかれることになっていて、カレンはそれによばれていました。カレンは、もう助からないらしい奥さまを見ました。そして赤いくつをながめました。ながめたところで、べつだんわるいことはあるまいとかんがえました。――すると、こんどは、赤いくつをはきました。それもまあわるいこともないわけでした。――ところが、それをはくと、カレンは舞踏会《ぶとうかい》にいきました。そして踊りだしたのです。
 ところで、カ
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