入《はい》るものみんな、何《なに》もかも、子家鴨《こあひる》にとっては悲《かな》しい思《おも》いを増《ま》すばかりです。
 ある夕方《ゆうがた》の事《こと》でした。ちょうどお日様《ひさま》が今《いま》、きらきらする雲《くも》の間《あいだ》に隠《かく》れた後《のち》、水草《みずくさ》の中《なか》から、それはそれはきれいな鳥《とり》のたくさんの群《むれ》が飛《と》び立《た》って来《き》ました。子家鴨《こあひる》は今《いま》までにそんな鳥《とり》を全《まった》く見《み》た事《こと》がありませんでした。それは白鳥《はくちょう》という鳥《とり》で、みんな眩《まばゆ》いほど白《しろ》く羽《はね》を輝《かがや》かせながら、その恰好《かっこう》のいい首《くび》を曲《ま》げたりしています。そして彼等《かれら》は、その立派《りっぱ》な翼《つばさ》を張《は》り拡《ひろ》げて、この寒《さむ》い国《くに》からもっと暖《あたたか》い国《くに》へと海《うみ》を渡《わた》って飛《と》んで行《い》く時《とき》は、みんな不思議《ふしぎ》な声《こえ》で鳴《な》くのでした。子家鴨《こあひる》はみんなが連《つ》れだって、空《そ
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