|竜舌蘭《りゅうぜつらん》の大輪が咲いたときのさわぎとはまたちがった、大へんな人だかりになるでしょう。
「うう、苦しい。血があたまに上るようだ。おれは気がちがう。――そうだ、もう気がちがいかけている。ああ、どうかして自由になりたい、それだけでもういいんだ。」
これはもう少し早くいえばよかったことでした。こうおもったとおり口にだしたとたん、あたまは自由になりました。幸福のうわおいぐつのおそろしいきき目にびっくりして、助手はむちゅうでうちへかけ込みました。
しかし、これでいっさいすんだとおもってはいけません。これからもっとたいへんなことになるのです。
その晩はそれですぎて、次の日も無事に暮れました。たれもうわおいぐつを取りにくるものはありませんでした。
その日の夕、カニケ街の小さな朗読会の催しがあるはずでした。小屋はぎっしりつまっていました。朗読会の番組のなかに、新作の詩がありました。それをわたしたちもききましょう。さて、その題は、
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おばあさんの目がね
ぼくのおばあちゃん、名代《なだい》のもの知り、
「昔の世」ならばさっそく火あぶり、
あったことなら
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