、何千人かの会葬者があったらしい。同君は何処かにえらい所があったのだと思う。
右のような訳で、高校時代には、活溌な愉快な思出の多いのに反し、大学時代には先生にも親しまれず、友人というものもできなかった。黙々として日々図書室に入り、独りで書を読み、独りで考えていた。大学では多くのものを学んだが、本当に自分が教えられたとか、動かされたとかいう講義はなかった。その頃は大学卒業の学士に就職難というものはなかったが、選科といえば、あまり顧みられなかったので、学校を出るや否や故郷に帰った。そして十年余も帝都の土を踏まなかった。
[#ここから6字下げ]
*1「世代から世代へ、いく世代も。」
*2「少くともラテン語は読まなければいけない。」
*3「哲学者は煙草を吸わざるべからず。」
[#ここで字下げ終わり]
底本:「日本の名随筆 別巻95 明治」作品社
1999(平成11)年1月25日第1刷発行
底本の親本:「西田幾多郎随筆集」岩波文庫、岩波書店
1996(平成8)年10月
※「*1」の形の注釈は、底本では、直前の文字の右横にルビのように付いています。
入力:ふろっぎぃ
校正:し
前へ
次へ
全7ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
西田 幾多郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング