黷ヘ作られたものからというに即するが故に、環境的といわねばならない。その立場からのみ歴史的生命の世界を見ることは、抽象的たるを免れない。
 我々の生物的身体というものが歴史的生命として既に技術的である。アリストテレスのいう如く、身体的発展は自然のポイエシスである。しかし我々の社会的生命において、それが真に技術的となる。我々の身体は歴史的身体的と考えられる。かかる立場から、我々の歴史的生命は何処までも技術的といい得るであろう。しかしまた逆に歴史的生命が技術的ということは、矛盾的自己同一的に、何処までもイデヤ的形成的ということでなければならない。故に種的形成からイデヤ的形成に発展する。かかる意味においてのみ、特殊が即一般といい得るのである。



底本:「西田幾多郎哲学論集III」岩波文庫、岩波書店
   1989(昭和64)年 12月18日 第1刷発行
底本の親本:「西田幾多郎全集」岩波書店
入力:nns
校正:ちはる
2001年6月5日公開
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