民族の世界史的使命を遂行せなければならない。これが東亜共栄圏構成の原理である。今や我々東亜民族は一緒に東亜文化の理念を提げて、世界史的に奮起せなければならない。而して一つの特殊的世界と云うものが構成せられるには、その中心となって、その課題を担うて立つものがなければならない。東亜に於て、今日それは我日本の外にない。昔、ペルシヤ戦争に於てギリシヤの勝利が今日までのヨーロッパ世界の文化発展の方向を決定したと云われる如く、今日の東亜戦争は後世の世界史に於て一つの方向を決定するものであろう。
今日の世界的道義はキリスト教的なる博愛主義でもなく、又支那古代の所謂王道という如きものでもない。各国家民族が自己を越えて一つの世界的世界を形成すると云うことでなければならない、世界的世界の建築者となると云うことでなければならない。我国体は単に所謂全体主義ではない。皇室は過去未来を包む絶対現在として、皇室が我々の世界の始であり終である。皇室を中心として一つの歴史的世界を形成し来った所に、万世一系の我国体の精華があるのである。我国の皇室は単に一つの民族的国家の中心と云うだけでない。我国の皇道には、八紘為宇の
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