、内在的なるものが超越的と云ふことにあるのである。八紘爲宇の世界的世界形成の原理は内に於て君臣一體、萬民翼贊の原理である。我國體を家族的國家と云つても、單に家族主義的と考へてはならない。何處までも内なるものが外であり、外なるものが内であるのが、國體の精華であらう。義乃君臣、情兼父子である。
 我國の國體の精華が右の如くなるを以て、世界的世界形成主義とは、我國家の主體性を失ふことではない。これこそ己を空うして他を包む我國特有の主體的原理である。之によつて立つことは、何處までも我國體の精華を世界に發揮することである。今日の世界史的課題の解決が我國體の原理から與へられると云つてよい。英米が之に服從すべきであるのみならず、樞軸國も之に傚ふに至るであらう。



底本:「西田幾多郎全集 第十二巻」岩波書店
   1966(昭和41)年1月26日発行
   1986(昭和61)年11月25日第4刷発行
入力:nns
校正:土屋隆
2004年8月20日作成
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