》にか一人足らぬ人が出来たのだから分らぬと云う筈は無い早い譬《たと》えが戸籍帳を借りて来て一人/\調べて廻れば何所にか一人不足して居るのが殺された男と先《ま》斯《こ》う云う様な者サ大鞆君《おおともくん》、君は是が初めての事件だから充分働いて見る可しだ、斯う云う六《むず》ヶしい事件を引受けねば昇等《しょうとう》は出来ないぜ(大鞆)夫《そ》りゃ分《わか》ッて居る盤根錯節《ばんこんさくせつ》を切《きら》んければ以て利器を知る無しだから六《むず》かしいは些《ちっ》とも厭《いと》ヤせんサ、けどが何か手掛りが無い事にや―先《ま》ア君の見た所で何《ど》の様な事を手掛と仕給うか(谷)何《ど》の様な事と、何から何まで皆手掛りでは無いか第一顔の面長いのも一ツの手掛り左の頬に痣《あざ》の有るのも亦《また》手掛り背中《せなか》の傷も矢張り手掛り先ず傷が有るからには鋭い刃物《はもの》で切《きっ》たには違い無い左《さ》すれば差当り刃物を所持して居る者に目を附けると先《ま》ア云う様な具合で其目の附所《つけどころ》は当人の才不才と云う者君は日頃から仏国《ふらんす》の探偵が何うだの英国《いぎりす》の理学は斯《こう》だの
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