文学』は許可になった。本年末にいろいろ読み終えた本の郵送をする。
やがて二人出る。村木はそうでもないようだが、百瀬は大ぶ痩せた。一度ぐらい大いに御馳走してやってくれ。来月末には厳穴※[#始め二重括弧、1−2−54]赤羽※[#終わり二重括弧、1−2−55]が出る。その次は来年の正月の兇徒連。人のことではあるがうれしい。
暑くるしいので筆をとるのが大儀至極だ。これで止す。さよなら。
*
堀保子宛・明治四十二年十月九日
先月はずいぶん手紙の来るのを待った。二十日過ぎにもなる。まだ来ない。不許にでもなったのだろう、とも思って見たが、しかし来ないのは僕のところばかりでもないようだ。堺のところなぞもまだ来た様子がない。少し変だ。きっとこれは社会に何か異変があったのに違いない。あるいは愚堂※[#始め二重括弧、1−2−54]内山愚堂、大逆事件の一人、その事件の起る少し前に不敬事件で収監された※[#終わり二重括弧、1−2−55]の事件からでも、飛んでもない嫌疑を蒙って、一同拘引というようなことになっているのじゃあるまいか。さあ、こう考えると、それからそれへといろいろな心配が湧いて来る。監獄
前へ
次へ
全118ページ中61ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
大杉 栄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング