れたんじゃ、少し芸がなさすぎるなア。」と矢代は傍の千鶴子を顧みて笑った。
「それはお芽出とう。しかし、僕の家内は寝ているから出られないよ。代りに早坂に出て貰うが、いいなら、おつとめ励むよ。」
即座に応じてくれた東野に、「結構です、どうぞ。」と矢代は頭を下げたが、いつもこういう場合に自分の出遅れる性癖を見せつけられた思いも強く、暫くは自己嫌悪を覚えあたりがぼっと暗く狭ばまって来るようだった。その間にも東野は仲人のそんな勝手な申し分は、本人は良かろうとも、両家の両親の意志をも尊重すべきが至当と思うから、なおよくこの事は相談の結果を待とうと、親切な保留さえしてくれたりした。そして、最後にまたこうも云って笑った。
「とにかく、諸君は人に気骨を折らせるお二人だよ。それは定評だからね。諸君は知らないだろうが、君たちの立った後というものは、皆がよると触ると君らの噂やら、臆測やらで、議論百出するよ。ひどいのになると、日本へ帰ったら僕に、君らの結婚をぶち壊せ、その必要を認めないというのがいたね。意味が分るか君。」
「どうしてです。」と矢代は訊ねた。
「誰にもやれないことをやったからさ。君らが外国で結婚
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