ることか、あるいは誰とも話さずぼつりと一人路傍のベンチに腰かけていることか、先ず特種な遊楽場以外の楽しみはさておきそんなことより他にはない。随って一度び議論となるとそれは果しなくつづいていく。その日の議論は逢う度びに前の議論の延長であり、またどの立場を取ろうとも、終局の負けというものがどちらにもないという強味を発見し合って来るのであった。これが例えば日本で議論をするとなると、忽ち終局は必ず法網に触れて来るので、どちらも黙ってそれ以上の議論はうやむやの中に引っ込めてしまうか、さもなくば、ヨーロッパの論理へ樋をかけて水をその方へ引き流し、日本の歴史を外国のこととして戦い合う。間違いはすでにそのとき敢行されているにも拘らず、錯誤の連続であってみれば、自身の知性で間違いを一度び正すとなると、論理らしいものを一応は尽く根から噴き上げてしまいたくならざるを得ないのだった。それからもう一度考え直す。矢代も今はそういうことを絶えず頭の中で繰り返している時期であった。
ある日、矢代は自分のこの得た確信を元として、千鶴子にヨーロッパに対して絶対に卑屈になるなと話してみた。
道を歩いていても少し汗ばむほ
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