。まるで女神みたいなものですからね。まだそのころの日本の婦人はたいていは皆、そうだったらしいですよ。」
矢代の云っている間にみんなの表情は、今まで見られなかった粛然としたものに変っていった。背も椅子から伸び眼光さえきらきらと耀き出して来たが、やはり誰も黙っていた。
「ところが面白いのは、ヘルンは外国人のくせに、キリシタンというカソリックが日本に入って来たことを非常に怨めしく思っているのですね。あんな極悪非道なものが、日本人に祖先崇拝をやめよと命令して進んで来たから、忽ち大虐殺にあった、あの虐殺は当然のことで、日本は立派だったと賞めてさえいるのです。僕は見方にもいろいろあるものだと思いましたね。」
云い出してしまった勢いでつい矢代はここまで云うと、怒りを含んで蒼ざめた顔色がどこか一隅に二三さっと顕れたように感じたが、彼はもうその方を見なかった。その一つの中には千鶴子の顔も恐らく混っていたにちがいないと思われたが、しかし、外人でさえそんなに思うものもいたのだということだけは、誰も一度は知って置いても良いことだと彼は確信するのだった。
「そいつは面白いなア。」
と、俄かに顔色をほころば
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